同期や先輩が次々と退職していく職場を見て、「自分の会社も離職率が高いのでは?」と不安を感じていませんか。長時間労働や人間関係の悪化、不透明な評価制度など、離職率が高い企業には共通する特徴が存在します。
厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、日本全体の平均離職率は15.4%ですが、業界によっては30%近くに達するケースも見られるのです。転職を成功させるには、離職率が高い企業を事前に見極め、長く働ける環境を選ぶことが重要になります。
本記事では、離職率が高い企業の特徴や見極め方、優良企業を選ぶ条件など、転職活動で使える実践的な情報を解説します。
1. 離職率が高い企業の特徴
離職率が高い企業には、労働環境や人事制度に共通する問題点が存在します。厚生労働省の雇用動向調査によると、退職者が多い会社ほど長時間労働や人間関係の悪化、不透明な評価制度といった課題を抱えている傾向が見られます。実際の離職理由ランキングを確認してみましょう。

令和5年度 前職の離職理由ランキング(上位5位)
| 順位 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1位 | 定年・契約期間の満了 | 職場の人間関係 |
| 2位 | 職場の人間関係 | 労働時間・休日等の条件 |
| 3位 | 給料等収入が少ない | 給料等収入が少ない |
| 4位 | 労働時間・休日等の条件 | 定年・契約期間の満了 |
| 5位 | 会社の将来性に不安 | その他の個人的理由 |
定年を除くと、人間関係・労働時間・給与が離職の主要因となっており、離職率が高い企業ほどこれらの問題を抱えている傾向が顕著です。以下、代表的な3つの特徴について詳しく解説していきましょう。
1-1. 長時間労働の常態化
月45時間を超える残業や休日出勤が日常化している職場は、離職率が高い企業の典型例と言えます。厚生労働省の令和5年調査では、労働時間や休日に関する不満が女性の離職理由第2位にランクインしています。なぜなら、長時間労働を放置している会社ほど社員が次々と辞めていくからです。
有給休暇を申請しても「周りに迷惑がかかる」という雰囲気が蔓延している企業では、従業員が心身を休める機会を失い、疲労が蓄積していきます。健康を害してから早期退職を選ばざるを得ない状況に追い込まれるケースも後を絶ちません。
したがって、ワークライフバランスを保てない環境は、人材流出を招く最大の要因と言えるでしょう。
1-2. 相談できない人間関係
職場での人間関係が悪化している企業では、離職率が著しく上昇します。実際、令和5年度の調査において、人間関係の問題は男性で離職理由の第2位、女性では第1位を占めています。離職率が高い企業ほど、コミュニケーション不全に陥っている傾向が顕著です。
人間関係の問題が生じやすい職場環境:
| ❌問題のある職場環境 | 具体的な状況 |
|---|---|
| ❌報告・相談の困難さ | 上司への報告や相談が気軽にできない雰囲気が支配的 |
| ❌部署間の連携不足 | 責任の押し付け合いが頻発 |
| ❌ハラスメントの黙認 | パワハラ・セクハラが改善されない |
| ❌コミュニケーション不全 | 業務連絡のみに限定されている |
業務で困った際に相談ができないと、ミスが増えてさらに人間関係が悪化するという悪循環に陥ります。こうした環境では、精神的なストレスが限界に達した従業員から順に退職を選んでいくでしょう。
1-3. 成果が反映されない評価
評価基準が不透明で、仕事の成果が給与や昇進に結びつかない企業は、離職率の上昇を招きます。「給料等収入が少ない」が男性の離職理由第3位となっているのは、離職率が高い企業ほど評価制度に問題を抱えている傾向があるからです。
明確な評価基準が示されず、上司の主観や好き嫌いで査定が決まる企業があります。どれだけ努力しても報われないという不公平感が蔓延するでしょう。営業成績でトップの実績を残しても昇給が微々たるものだったり、逆に成果を出していない社員と同じ評価だったりする状況では、働きがいを感じられず真面目に働く意欲が失われていきます。
結果として、優秀な人材ほど転職を選び、定着率の低い組織になってしまうのです。では、離職率が高い企業をどのように見極めればよいのでしょうか。
2. 離職率が高い企業の見極め方
離職率が高い企業の特徴を理解したら、次は実際の転職活動で「どのように見極めるか」という具体的な方法を押さえておく必要があります。求人票や企業の採用サイトだけでは分からない情報も多いため、信頼できる情報源の活用や面接での質問が重要です。
ここでは、入社前に離職率が高い企業を避けるための3つの実践的な方法を解説していきましょう。

2-1. 信頼できる情報源の活用
離職率や労働環境を調べる際には、複数の信頼できる情報源を組み合わせて判断することが重要です。企業が公表する情報だけでは実態が見えにくく、口コミサイトだけでは主観的な意見に偏る可能性があるからです。
就職四季報や有価証券報告書には、離職率や平均勤続年数といった客観的なデータが掲載されています。厚生労働省の雇用動向調査や業界団体が発表する統計データを参考にすれば、業界平均と比較した評価も可能になるでしょう。
また、OpenWorkやen Lighthouseなどの口コミサイトでは、実際に働いている社員や退職者の生の声を確認できます。ただし、個人の主観が強く反映されているため、複数の口コミを読み比べて離職率が高い企業に共通する問題点を探すことが大切です。転職エージェントに相談すれば、企業の内部事情や定着率の実態について非公開情報を得られる場合もあるため、積極的に活用しましょう。
✓ 情報収集の3つの柱:
- ✅ 公式データ(就職四季報、有価証券報告書)
- ✅ 口コミサイト(OpenWork、en Lighthouse)
- ✅ 転職エージェント(非公開情報の入手)
2-2. 面接での労働条件確認
面接は企業から評価される場であると同時に、求職者が離職率が高い企業かどうかを見極める貴重な機会でもあります。労働条件について具体的な質問をすることで、社員が辞めていく原因を事前に把握できるのです。
面接で確認すべき労働条件:
| 確認項目 | 質問例 |
|---|---|
| 残業時間 | 月平均の残業時間と繁忙期の実態を教えてください |
| 有給取得 | 有給休暇の取得率と取得しやすい雰囲気でしょうか |
| 休日出勤 | 休日出勤の頻度と代休取得の仕組みはどうなっていますか |
| 定着率 | 平均勤続年数と入社3年以内の定着率を教えてください |
| 離職理由 | 退職される方に多い理由は何でしょうか |
⚠ 注意すべきサイン:
- ❌ 具体的な数字を示さない
- ❌ 曖昧な回答に終始する
- ❌ 質問を避けようとする態度が見られる
質問に対して、企業側が具体的な数字を示さなかったり、曖昧な回答に終始したりする場合は要注意です。また、職場見学や現場社員との面談の機会があれば積極的に参加し、実際の働く様子や雰囲気を確認することをおすすめします。
2-3. 評価制度の透明性確認
評価制度が明確に定められている企業は、従業員のモチベーション維持につながりやすく、離職率が低い傾向にあります。離職率が高い企業ほど評価基準が曖昧で、成果が正当に反映されない傾向が見られるからです。
面接や説明会では、評価基準や昇給・昇進の仕組みについて積極的に質問しましょう。目標管理制度(MBO)や360度評価、OKRなど具体的な評価手法が導入されている企業は、公正な評価を実施している可能性が高いと言えます。
評価制度のチェックポイント:
- ✓ キャリアパスが明確に示されている
- ✓ 昇進に必要なスキル・経験が分かりやすい
- ✓ 評価基準が具体的に説明できる
また、キャリアパスが明確に示されており、どのようなスキルや経験を積めば次のステップに進めるのかが分かりやすい企業であれば、長期的な成長を見込めるでしょう。
⚠ 注意: 評価基準について「上司が総合的に判断する」といった曖昧な説明しかされない場合や、昇給・昇進の実績について具体的なデータが示されない場合は、優秀な人材ほど定着せず転職を選ぶ環境である可能性が高いため注意が必要です。
3. 離職率の判断基準とデータ
離職率が高い企業を見極める方法を理解したところで、「そもそも離職率とは何か」「どの程度の数値が高いと判断すべきか」という基準を正しく把握しておく必要があります。厚生労働省が発表する統計データをもとに、離職率の計算方法や全国平均、業界別の傾向を知ることで、自社や転職先候補の状況を客観的に評価できるようになるでしょう。
ここでは、離職率を判断するための基礎知識と最新データを解説していきます。

3-1. 基本的な計算式
離職率とは、企業に在籍していた従業員のうち、一定期間に退職した人の割合を示す指標です。厚生労働省の定義では、他企業への出向者や出向復帰者は含まれますが、同一企業内の異動は除外されます。
一般的な計算式は
「離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 × 100(%)」
で求められます。たとえば、年初に100人が在籍していた企業で1年間に15人が退職した場合、離職率は15%となるわけです。
ただし、企業によっては「期中平均在籍者数」を分母にするケースや、試用期間内の退職者を除外するケースもあるため、離職率が高い企業かどうかを正確に判断するには、公表されているデータの算出方法を確認することが重要になります。また、新卒3年以内離職率のように特定期間に絞って計測する場合もあり、計測方法は目的に応じて変わることを理解しておきましょう。
3-2. 平均15.4%の判断ライン
厚生労働省が発表した令和5年のデータによれば、日本全体の平均離職率は15.4%でした。離職率が高い企業かどうかを判断する際には、この全国平均を一つの基準として活用できます。
離職率の判断基準:
| 離職率 | 評価 | 状況 |
|---|---|---|
| 10%以下 | ⭕かなり低い | 従業員の定着率が非常に高く働きやすい環境 |
| 10~15% | ⭕低い | 全国平均以下で比較的安定している |
| 15~20% | △平均的 | 全国平均レベルで標準的な水準 |
| 20~30% | ⚠高い | 社員が辞めやすい環境の可能性あり |
| 30%以上 | ❌かなり高い | 人材流出が深刻で早急な対策が必要 |
ただし、業界特性や企業規模によって離職率は大きく異なるため、一律の基準だけで判断するのは危険です。たとえば宿泊業や飲食サービス業では離職率が26.6%と全国平均を大きく上回りますが、高い離職率は業界全体の特徴でもあります。
また、新卒3年以内離職率は大卒で33.8%と全体平均より高く、若手社員の定着状況を見る際には別の基準が必要になるでしょう。複数の視点から離職率を評価することが、離職率が高い企業を正確に見極めるポイントとなります。
判断のポイント:
- ✓ 全国平均(15.4%)と比較する
- ✓ 業界平均と比較する
- ✓ 新卒3年以内離職率も確認する
3-3. 業界別離職率トップ5
離職率が高い企業を避けるためには、業界全体の傾向を把握しておくことも重要です。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、離職率には業界ごとに明確な差が見られます。
📈 【2023年】離職率が高い業界ランキング:
| 順位 | 業界 | 離職率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 🥇1位 | 生活関連サービス業・娯楽業 | 28.1% | 非正規雇用が多く労働時間が不規則 |
| 🥈2位 | 宿泊業・飲食サービス業 | 26.6% | 休日が取りにくく顧客対応のストレス大 |
| 🥉3位 | サービス業(他に分類されないもの) | 23.1% | 業務内容が多岐にわたり負担が大きい |
| 4位 | 不動産業・物品賃貸業 | 16.3% | ノルマが厳しく成果主義の傾向 |
| 5位 | 教育・学習支援業 | 14.8% | 保護者対応やキャリアパスの不透明さ |
上位3業界は全国平均の15.4%を大きく上回っており、退職者が多い業界と言えます。特に生活関連サービス業・娯楽業と宿泊業・飲食サービス業は、非正規雇用の割合が高く労働時間が不規則であることが、人材流出を加速させる主要因となっているのです。
⚠ 注意: これらの業界への転職を検討する際には、企業の労働条件や職場環境、福利厚生を慎重に確認し、業界平均より離職率が低い優良企業を選ぶことが重要になるでしょう。
4. 離職率が低い会社を選ぶ条件
離職率が高い企業の特徴や見極め方を理解したところで、最後に「どのような企業を選べば長く働けるのか」という条件を押さえておきましょう。同期や先輩が次々と退職していく状況を見て、「次は失敗したくない」と考えている方も多いのではないでしょうか。長く働ける環境を見極めるために、離職率が低い優良企業の4つの条件を解説していきます。

4-1. BtoB中心で業績が安定
企業間取引(BtoB)を中心とする業界は、個人消費者向け(BtoC)の業界と比較して離職率が低い傾向にあります。BtoBビジネスでは取引先も企業であるため、合理的なやりとりができ、クレームによる精神的負担が少ないからです。
離職率が低い業界TOP3:
| 順位 | 業界 | 離職率 |
|---|---|---|
| 🥇1位 | 鉱業・採石業・砂利採取業 | 3.8% |
| 🥈2位 | 建設業 | 4.5% |
| 🥉3位 | 金融業・保険業 | 4.7% |
これらの業界は取引先との長期的な信頼関係を基盤としており、土日休みが取りやすく、夜間や休日の対応を求められることも少ないでしょう。また、インフラ関連や生活必需品を扱う業界は景気に左右されにくく、社員が辞める理由が生まれにくい環境と言えます。
4-2. 明確な評価と充実した福利厚生
評価制度が明確で、成果が正当に報酬や昇進に反映される企業は、離職率が低く優秀な人材が定着しやすい傾向にあります。令和5年調査で「給料等収入が少ない」が離職理由の第3位となっているように、不透明な評価制度は人材流出を招く主要因となっているからです。
優良企業の評価制度と福利厚生の特徴:
| 項目 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 評価基準 | 目標と評価項目が明文化されているか |
| フィードバック | 定期的な1on1で具体的な改善点を共有しているか |
| 昇給・昇進 | キャリアパスと必要なスキルが明示されているか |
| 福利厚生 | 資格取得補助や育児支援など独自制度があるか |
| 研修制度 | 体系的な人材育成プログラムが用意されているか |
重要: 面接や説明会では、評価基準や福利厚生について積極的に質問し、制度が形骸化していないか実際の利用実績を確認することが重要です。
4-3. 休暇取得とワークライフバランス
有給休暇を取得しやすく、ワークライフバランスを保てる企業は、離職率が低く社員が長く働き続けられる環境が整っています。労働時間や休日に関する不満が女性の離職理由第2位、男性の第4位となっていることからも、休暇取得のしやすさが定着率に直結していることが分かるでしょう。
確認すべき条件:
- ✓ 有給休暇の平均取得日数(年間10日以上が目安)
- ✓ 残業時間の月平均と上限設定の有無
- ✓ フレックスタイム制やリモートワークの導入状況
- ✓ 育児・介護休業の取得実績と復職率
- ✓ 休日出勤の頻度と代休取得の仕組み
⚠ 注意すべきは、「制度があるだけでは不十分」という点です。 有給休暇の付与は企業の義務であり、どの会社にも制度は存在しますが、実際には誰も取得していない職場も珍しくありません。自分だけ権利を行使するのは難しく、結局は取得できずに疲労が蓄積していくことになります。
アドバイス: 面接では「有給休暇の取得率はどのくらいですか」といった具体的な数字を質問し、制度が実際に機能しているかを確認しましょう。
4-4. コミュニケーション環境の整備
職場の人間関係が良好で、相談しやすいコミュニケーション環境が整っている企業は、離職率が著しく低い傾向にあります。離職理由ランキングで人間関係が女性第1位、男性第2位となっているように、離職率が高い企業ほどコミュニケーション不全に陥っているからです。
離職率が低い企業に共通する特徴:
- ✓ 上司と部下が定期的に面談する1on1ミーティングの実施
- ✓ メンター制度やバディ制度による新入社員のサポート体制
- ✓ ハラスメント研修や相談窓口の設置
- ✓ 匿名の意見箱やパルスサーベイの活用
- ✓ 部署を超えた交流プログラム
適切な仕組みがある企業は、心理的安全性の高い職場環境を実現しており、人間関係の問題で悩む社員が少なく定着率が高まるのです。面接や会社見学の際には、社員同士が気軽に会話している雰囲気があるかどうかを確認しましょう。環境が整っていれば、早期退職のリスクを大幅に減らすことができます。
5. まとめ:離職率が低い優良企業で充実したキャリアを築こう
離職率が高い企業には、長時間労働の常態化、相談できない人間関係、成果が反映されない評価制度という共通する特徴が存在します。厚生労働省の調査では、全国平均離職率は15.4%ですが、業界によっては30%近くに達するケースもあり、事前の見極めが不可欠です。
✓ 転職成功の3ステップ:
- 就職四季報や口コミサイトなどの信頼できる情報源を活用
- 面接で労働条件や評価制度について具体的に質問
- 4つの条件を満たす企業を選ぶ
転職活動では、就職四季報や口コミサイトなどの信頼できる情報源を活用し、面接で労働条件や評価制度について具体的に質問しましょう。そして、BtoB中心で業績が安定している業界、明確な評価制度と充実した福利厚生、休暇を取得しやすい環境、コミュニケーションが活発な職場という4つの条件を満たす企業を選ぶことが重要です。
本記事で紹介した方法を実践し、離職率が低い優良企業で充実したキャリアを築いていきましょう。